初めてタバコを吸ったときの1本。
起き抜けで目覚ましがわりの1本。
長時間の仕事から解放されて、やっと火をつけたその1本。
そんなときに、フワッとするあの感覚。いわゆるヤニクラと言われるものです。しかし、人によってその症状はさまざまで、初めてタバコを吸った人ほど症状が強くあらわれます。
ヤニクラの語源は?
タバコを吸う人ならわかると思いますが、タバコのことをしばしば「ヤニ」と表現することがあります。
しかし、タバコがなぜ「ヤニ」と言われているか、知っている人は少ないのではないでしょうか。
普段、フィルター付きの紙タバコを吸っている人は感じづらいですが、フィルターの付いていない両切りタイプの紙タバコを吸ってみると、口の中がベタつくのがよくわかります。
そしてこの「ヤニ」と吸ったとき「クラクラする」が合わさって『ヤニクラ』という言葉ができました。
しかし実際は「クラクラ」するだけでなく、色々な症状があります。
ヤニクラの症状とは?
ヤニクラといっても、その症状は軽度のものから重度のものまで色々あります。
代表的な症状はやはり、めまい・ふらつきでしょう。症状としては軽度の部類になります。
タバコ初心者や、タバコを吸う間隔があいたときの1本、普段吸っているものよりニコチン・タールを多く含んだタバコを吸ったときなど、タバコを吸い慣れていてもよくでる症状です。
実際、わたしも喫煙歴は20年ほどですが、タバコを吸う間隔があいてしまうとクラクラしてしまうことはよくあります。
ヤニクラによるめまい・ふらつきは不快に感じる人がほとんどだと思いますが、個人的には気持ちいいと感じてしまいます。なかにはそんな人もいるようです。
ヤニクラの危険性 重度になるほど吐き気や倒れたりすることも
ヤニクラの症状によっては、頭痛や吐き気をもよおすこともあります。
かくいう私も、体調がすぐれなかったり睡眠不足だったりすると、まれにこのような症状が現れることがあります。
しかし、もっと重度の場合だと、けいれんや失神して倒れてしまうこともあるようです。
実際に、けいれんや失神を起こしている人を見たことこはありませんが、1日の喫煙本数が多い、いわゆるヘビースモーカーと言われる人たちは脳が慢性的な酸欠状態にありますので、このような症状がでやすい傾向にあります。
もしこのような症状が現れたら、すぐに医療機関を受診するべきです。
ヤニクラ原因とは?
タバコの煙には約5300種類の化学物質が含まれています。その中のニコチンや一酸化炭素がヤニクラの原因です。
これらの物質はタバコを吸って肺から血液に流れ、約10秒ほどで脳へと達します。
ニコチンによる作用
ニコチンが交感神経を刺激して、末梢の血管を収縮させることで、血圧が上昇します。結果、心拍数が増加し、心臓を動かす筋肉の負担が増えて、酸素不足になります。
またニコチンは胃の収縮力を低下させ、吐き気や嘔吐を起こすことがあります。
動物実験ではニコチンの過剰摂取により、けいれんが起こることもわかっています。
一酸化炭素による中毒
実のところ、一酸化炭素はタバコ本体に含まれていません。タバコが燃える過程で発生します。タバコのようにくすぶっている不完全燃焼の場合に、一酸化炭素が多く排出されます。
そして、この一酸化炭素というのは酸素に比べ、220~250倍もヘモグロビンとくっつきやすいため、ヘモグロビンから酸素を奪い取ってしまうのです。
その結果、酸素運動能力が低下してしまい、一酸化炭素中毒になってしまうのです。
一般的な一酸化炭素中毒のイメージは、部屋の中で火を取り扱って換気を忘れたがために、死んでしまうようなことを思い浮かべがちですが、タバコにおいてはそこまで重症になることはありません。
とはいえ、酸素不足により頭痛、吐き気、嘔吐などの体調不良がおこる可能性もあります。
一酸化炭素の体内での半減期(濃度が半分になる時間)は3~4時間といわれていますので、喫煙者は慢性的な酸欠状態にあります。
結果として、運動能力や免疫機能の低下がにつながり、つねに身体的なパフォーマンスは低い状態になっているといえます。
ニコチンについて
ニコチンとタールの量は包装に表示することが義務付けられていますので、よく目にする機会があると思います。
タバコの銘柄を選ぶ時には香りや、このニコチンやタールの量も気にして買う人も多いかと思います。
ニコチンとは
肺へ入ったタバコの煙は血液に流され、ニコチンは急速に全身へと広がります。
そして、脳へと運ばれたニコチンは神経ネットワークに作用し、快楽物質である「ドーパミン」や幸せホルモンといわれる「セロトニン」などを過剰に放出させるのです。
「ドーパミン」には興奮作用があり、気分が晴れないときに喫煙すると脳がパッと覚醒します。
また、「セロトニン」には気持ちを沈静化させる作用があり、そわそわして気持ちが落ち着かないときなどに喫煙するとリラックスできます。
ニコチンは発がん性物質であると思いがちですが、ニコチンそのものに発がん性はなく、ニコチンが分解・代謝されることで生み出される物質に発がん性が認められています。
ニコチンはなぜ依存度が高いのか
「二コチン依存症」という言葉を聞いたことがあると思います。
その名の通り、ニコチンには強い依存性があり、その強さはというと、違法薬物のコカインやヘロインに匹敵するほどの依存性です。
ではなぜ、ニコチンには強い依存性があるのか。
脳の中にはニコチンが結合する「ニコチン受容体」があり、ここにニコチンが結合することで「ドーパミン」などの神経伝達物質が放出されます。
「ドーパミン」は快楽物質ですから、当然のように繰り返しタバコを吸いたくなってしまいます。
厄介なことは、繰り返しニコチンを摂取することにより、この「ニコチン受容体」の数が増えてしまい、余計にニコチンを欲するようになることです。
増えてしまったニコチン受容体は消えませんが、ニコチンは時間の経過とともに消えていきますから、イライラしたり集中力がなくなったりと離脱症状が現れます。
そして、このような症状を解消するために、またタバコに火をつけることになるのです。
タールについて
タールは通常固体ですが、熱が加わることにより、液体から気体へと変化していきます。
タバコの先端の温度が約800℃ともいわれていますから、気体となったタールは簡単に体の中に取り入れられます。
そして体温状態になると、再び固体へと変化し肺の中にへばりついてしまうのです。
喫煙者の歯の色が黄色かったり、部屋の壁紙が黄色かったりすることからもタールの粘着力の高さがわかるかと思います。
そして、長期間溜まったタールは体に影響を及ぼします。なので、直接健康面で影響を与えるものはタールということになります。
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ヤニクラの治し方
水を飲む
まずはじめに、ヤニクラになったらタバコを吸うのをやめるのが大前提です。
水を飲むことによって血中のニコチンや一酸化炭素の濃度を下げることができます。飲み物は水やお茶がのぞましいです。
お茶はカフェインが入っていて利尿作用が高く、脱水状態になりやすいと思われがちですが、カフェインを400mg(お茶2リットル)摂取しても利尿作用はないというデータもありますので問題ありません。
ただ、カフェイン含有量の多いとされる玉露や抹茶は避けたほうが無難でしょう。
水分だったらなんでもいいだろうと、アルコールを摂るのは厳禁です。
アルコールは尿を作ることを抑えるホルモンの分泌を低下させ、利尿作用が強く、脱水状態になりやすいからです。
飲酒をしながら、喫煙をしたことのある人ならおわかりになるかと思います。
深呼吸をする
タバコの一酸化炭素の作用により、体内では酸素不足の状態になっているので、深呼吸をして新鮮な空気を体内に取り入れることも有効です。
深呼吸はゆっくりと鼻から吸って口から息を吐くこと。腹式呼吸がポイントです。
一つ注意点としては、部屋の中がタバコの煙で充満したところで深呼吸をしないこと。副流煙により余計に体調が悪化することとなります。
必ず換気の良い場所でおこなってください。
軽いストレッチをする
ヤニクラの症状が軽く体が動かせる場合には、ストレッチをして血液の流れがよくすることも有効です。
ストレッチとあわせて、水を飲んだり深呼吸を組み合わせることで、ヤニクラからの回復を早める効果が期待できます。
頭痛や吐き気など症状が重い場合には、決して無理をしないようにして下さい。
横になって休む
ヤニクラの症状が重く、ストレッチや深呼吸することができない場合は、無理をせず横になることです。
横になることのできない場合は、イスに座るなどして体を休めて下さい。できるだけ楽な服装になって、症状が落ち着くまで待ちましょう。
次第に体調がよくなってきたら、水分補給やストレッチをしてみるといいでしょう。
電子タバコ(ベイプ)でヤニクラ卒業
食事の後やコーヒーと一緒に吸うタバコ、美味しいですよね。でも、
「またヤニクラになってめまい、吐き気、頭痛などの症状が出ても嫌だな。」
「ヤニクラするからタバコをやめたいけど、口さみしい」
そんな風に思っている人は電子タバコ(ベイプ)があっているかもしれません。
電子タバコでヤニクラしない理由
「電子タバコ(ベイプ)がおすすめといっても、加熱式タバコと一緒じゃないの?」
結構こんな勘違いをしている人は多いです。
そもそも、電子タバコ(ベイプ)と加熱式タバコの違いは
- 電子タバコ(ベイプ)は風味や香料のついた液体(フレーバー)を電気で加熱して、発生した蒸気を吸うもの
- 加熱式タバコはタバコ葉を電気で加熱して、蒸気を吸うもの
電子タバコ(ベイプ)はタバコ葉を使用していないので、ヤニクラの原因となるニコチンや一酸化炭素が発生せず、タールも含んでいません。
海外では液体にニコチンの入った電子タバコ(ベイプ)が販売されているようですが、日本では販売禁止になっているのでヤニクラすることはないので安心です。
まとめ
この記事では、ヤニクラの症状や原因、治し方について解説しました。
ヤニクラは喫煙歴が長くても症状が出ることがあります。また症状も軽いものから重いものまでさまざまです。
もしヤニクラで困っているのであれば、タバコをやめるいい機会かもしれません。
いきなりやめるのが難しいのであれば、紙タバコと電子タバコ(べイプ)を併用して、少しずつ本数を減らしていくのも一つの方法です。
無理のない禁煙方法を心掛けましょう。